工事会社の事故と対策

有限会社ワンズの中の者(Twitter担当)でございます。
今回からコラムを書かせていただけるとのことで、不肖この私め、遅筆かつ拙稿ながらしばしのお付き合いをいただければ幸いでございます。

さて、いざコラムを、と机に向かってみたものの、取り立てて個人的に語れるものがあるわけでもありません。なので今回は、弊社のような工事会社とは切っても切れないもの、「事故」とその「対策の在り方」について書いてみようと思います。

【工事会社の事故と対策】


一口に「事故」と申しましてもその種類は複数ございます。
それこそ人命に関わるものから、業界全体の信用に関わるものまで様々。
工事に携わっている身としては、前者が比較的身近なカテゴリです。
「死と隣り合わせ」なんて言うとドラマチックですが、当然ながら現実はそんな楽し気なものではないし、毎日、落ちたら死んでしまうような高いところで作業をしますが、いつも生命の危機にさらされてハラハラしているほど隣り合ってもいません。

というのも、先人が、命に関わらないように安全について考えてくれているからです。
安全を確保するためにはどんな装備が必要か 何をすべきか 何をしてはならないか おそらく、人命に関わる作業でなくとも、トラブルを防止するための「行動のルール」はどこにでもあるはずです。
複数人が同じことをやるとき、人に依る注意力や熟練の差で事故発生・未発が分かれるようなことがないように、誰が行っても同じく防止できるように行動を定型化したメソッドが作られているのです。
現在ではそのノウハウも十分に蓄積され、「まったくゼロから構築しなければならない」ような対策はほぼありません。
何かの延長線上で、応用して対応できることばかりです。

しかし、それでも事故は起きます。
悲しい哉、全国を見渡せば今年度も死亡事故は発生していました。
その原因の多くは、やはり、行動を定型化したメソッドを疎かにしていることからです。

そして事故の罹災者は、多くがベテランです。
ではなぜ、人は「決められた安全行動」をなぞることができず、疎かにしてしまうのでしょうか?

【なぜ行動を定型化できないのか】


「安全第一」という言葉があるように、弊社でも「安全ファースト・安全は全てに優先する」を安全基本方針として掲げていますが、「何を差し置いても、最低限、安全だけは確保する」という考えの下に行動が決められているので、時間と手間がかかる傾向にあります。

本稿を読んでいただいている皆様にも、点滅する青信号を見て、駆け足で横断歩道を渡ったこと、またはそうしている人を見たことがあると思います。
いつから点滅していたのか、いつ赤に変わるのか知らないのにも関わらず、渡ったりします。
ですが、自動車を運転する側も歩行者に注意を払っていますし、大概は無事に渡りきれることでしょう。
初めはその経験も知識もないので、小さい頃は信号を注視し、高く手を挙げて、右見て左見て再度右を確認し、青信号が点滅する前に渡ります。
安全を確保するメソッドとして教え込まれるからです。

しかし成長とともに経験と知識が積まれ、危険水域や加減・塩梅がわかってくると、その(あくまで自分自身が「ここまでなら安全である」と)許容する範囲で効率を求め始めます。
人によってその範囲は変わります。
人は、同じ行動をとるとき、自らの心と体の状態が変動することを忘れがちです。
心身ともに充実しているときはセーフだった行動が、調子が悪いときは失敗することも多くあります。

しかし、同じ動きをすれば、いつも必ず同じ結果になると信じて疑いません。
「いま横断歩道を渡ったほうが効率的」だし、「そうしなければ損をする」と無意識的に打算して、事故が起こる可能性に対する思考を隅に追いやっているからです。

だから、人は完全に安全を確保できるメソッドを捨て、効率が良く、且つ無事に生還できる「全部取り」、「両立」を追いかけてしまいます。
熟練者こそ、その考えに陥りやすいと言えます。

事故対策は、その作業に携わる人々の、人それぞれの性質や調子の良し悪しに左右されない範囲で作られています。
また、今後新たに作られるものもそうであるべきです。

しかしながら、その「万に一つも事故を起こさない」ための対策は手間と時間がかかり、作業者にとって「面倒」と捉えられているものも多く、しばしば実行されないままに事故が発生するのも珍しい話ではありません。

工事を発注する側が、工事現場の作業量・工期の実態を把握せず、これまで以上に効率的に早く工事を進めてほしい、且つ、これからも増え続ける安全対策メソッドを余すことなく完全に実行して事故を防止してほしいという、両立が極めて難しい状況になっている現場があります。

両立が実現不可能となったとき、現場で作業をしている人たちが真っ先に省略するのは安全です。
工事を発注する側の方には、現場を把握・監督し、効率と安全のバランスをとることが必要だと感じます。

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